治験とは…


「治験」と聞くと何となく難しそうなイメージですが、「新しい薬」の承認を得るために厚生労働省の指導に従い実施している試験のことです。承認される前の薬剤を、実際の患者や健康な方に使用してもらい、安全性と有効性などを確認します。
「治験モニター」のアルバイトがあることはご存知の方もいらっしゃるのでは。
今回は、謎が多い「治験」の概念を見て頂き、その意味などを分かって頂ければと思います。

◆まず、「治験」とは何か?
治験とは、国から薬として承認を受けるために行う臨床試験のことを指しています。
新しい「薬」を開発するためには、「薬の候補物質」について動物で効果や毒性を調べるだけでなく、人での効き目(有効性)や副作用(安全性)を確認する必要があります。
 ➀有効性:その薬が病気に対して効き目があるのか確認
 ➁安全性:副作用などがないか確認
ちなみに、人での有効性や安全性について調べる試験を一般に「臨床試験」と呼び、厚生労働省から「薬」として承認を受けるために行う臨床試験のことを「治験」と呼んでいます。
◇治験の意味
新薬の開発は、研究者や医師の力だけで世に出されるものではありません。
薬の開発で最も重要なことは、前述の有効性と安全性を確認するためには、患者さんを始めとする多くの方々のご理解とご協力が必要です。

◆治験の流れについて
治験は、参加して下さる方の安全を確保するために3つの段階に分けて慎重に行われています。それぞれの段階別に詳しく見てみましょう。
➀第1相試験 …臨床薬理試験
 少人数の健康な大人が対象となります。
 薬の量を徐々に増やしていき安全性を調べていきます。併せて、薬がどのくらいの時間 
 で体の中に吸収され、排除されるか調べます。

➁第2相試験 …探索的試験
 薬の効果があると想定される少人数の患者さんを対象に行われます。
 安全性・効き目・薬の使い方(量、使う期間・間隔など)を調べます。

➂第3相試験 …検証的試験
 安全性の確認が進んだ段階で、数多くの患者さんに対する最終的な安全性、有効性、使
い方の確認を行います。そのため、第3段階では、より多くの方の協力が必要となりま
す。
➃市販後臨床試験
治験とは呼びませんが、厚生労働省が薬として認めて市販された後で、もう一度試験
を行います。より多くの人に対する安全性や有効性を確認して、安心していただくた
めに行う試験です。

◆治験モニターになるメリット
治験はあくまで参加する方の「自由意志」に基づいて行われます。
治験内容や医療機関によって異なりますが、次のようなことが考えられます。
 ➀これまで良い薬が無かった場合、新しい治療を受けるチャンスがある。
 ➁経験豊富な治験担当医師によって、丁寧な診察を受けることができる。
 ➂一般の診察と比べてきめ細かい検査が行われるため、自身の病状などを詳しく知ることができる。
 ➃基本的に、治験薬の費用や治験に伴った検査費用に関しては、支払いの義務がありません。

◆どのような治験が行われているのか
一般的に募集されている治験をご紹介します。
➀内科の病気で多い治験
 ・糖尿病の方 …既に糖尿病を患っている患者を対象にした治験
 ・高血圧の方 …高血圧を患っている方や健康な方を対象にした治験
 ・メタボリックシンドローム …高血圧・糖尿病・肥満症の治験のいずれか、もしくは合併している方が対象の治験
➁整形外科の病気で多い治験
 ・骨粗しょう症の方 …高齢者や女性を中心に治験
 ・変形性膝関節症の方 …飲み薬と塗り薬があり、高齢者や女性を中心に治験

➂皮膚・アレルギーの病気で多い治験
 ・アトピー性皮膚炎の方 …子どもや青年を対象にした治験
 ・花粉症の方 …治験期間中に症状が現れている方を対象にした治験
 ・アレルギー性鼻炎の方 …症状を発症している方や健康な方など対象にした治験


ここまで見て理解して頂けたかと思いますが、私たちが普段使っている薬は、多くの一般の方々がボランティアとして参加した「治験」を経て誕生している事だけは覚えておきましょう。